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モーツァルト:ピアノソナタ 第11番 イ長調 K.331(トルコ行進曲付)

モーツァルト(1756−1791)のピアノソナタの中でも特に人気の高いこの作品は、1783年に作曲されました。その頃のモーツァルトは、仕えていた大司教と決裂して自由な音楽家となり、父の反対を押し切ってコンスタンツェと結婚もし、仕事面でも充実した日々を過ごしていたようです。また、当時のウィーンでは、トルコブームが起こっており、打楽器を用いた独特のリズムによるトルコの軍楽曲も流行っていたようで、第3楽章は、このような世相を反映して作曲されたものと考えられます。

第1楽章 優しく美しいテーマに続いて、6つの多様な変奏曲が繰り広げられます。
第2楽章 規模の大きい、優雅なメヌエット(フランス風舞曲)です。高貴な香りが立ちのぼるような中間部も印象的です。
第3楽章 曲の冒頭には「トルコ風に」と記されており、“トルコ行進曲”として広く知られています。トルコの軍楽隊の小太鼓のリズムが、エキゾチックな魅力を表しています。

 

ショパン:ノクターン 第1番 作品9-1

「ノクターン」とは、イギリスの作曲家ジョン・フィールドによって創始された「夜想曲」を意味する音楽形式です。ショパン(1810-1849)は、生涯で21曲のノクターンを作曲していますが、3曲から成るこの作品9は、1830年からその翌年にかけて作曲され、最初に出版されました。フィールドの面影が強く感じられる、甘美で感傷的な旋律が印象的です。

 

ショパン:練習曲集 作品10より

ショパンの練習曲は全部で27曲ありますが、この作品10の12曲は、ショパンがまだポーランドに居た頃の1829年から書き始められ、その後4年の間に作曲されました。演奏技術の錬磨という練習曲本来の目的にとどまらず、豊かな詩情やロマン的な香りの表れた芸術性の高い作品であり、現代でも最高の練習曲と言われています。

 

第1番 広い音域におよぶアルペジオを魅惑的なハーモニーが彩っており、壮大な気分をもつ作品です。

第5番「黒鍵」 右手が黒鍵だけを用いて装飾的な音型を奏でることから、「黒鍵」と呼ばれる練習曲です。明るく華やかな雰囲気が印象的です。

第3番「別れの曲」 祖国ポーランドへのショパンの告別の情が込められた作品と言われています。冒頭の美しい旋律は特に有名で、中間部での激情に満ちた表現と好対照を成しています。

第11番 アルペジオの和音が次々に奏でられ、色彩豊かで繊細な美しさが印象的な作品です。

第12番「革命」 ショパンが、ウィーンからパリに向かう途中の町で、ポーランドにロシア軍が侵入した悲報を知り、絶望と怒りの中で作曲したというエピソードが語り伝えられている作品です。

 

サティ:ジムノペディ 第1番

サティ(1866-1925)は、19世紀末から20世紀にかけて活躍したフランスの作曲家ですが、サティの作品の中で最も有名なこの曲は、1888年に作曲されました。“ジムノペディ”とは、古代ギリシャの祭典のことであり、神々を賛美するために、裸の子どもや男たちが踊る祭りであったようです。

 

サティ:グノシエンヌ 第3番

“グノシエンヌ”とは、古代ギリシャのクレタ島の住人を指すと言われています。サティは全部で6曲のグノシエンヌを作曲しましたが、この第3番は、1890年に作曲されました。ギリシャ風のエキゾチックな旋律が繰り返し奏でられ、けだるく官能的な、独特の世界に引き込まれるようです。

 

シューマン:謝肉祭 作品9

ドイツ・ロマン派を代表する作曲家であるシューマン(1810-1856)は、「4つの音符による小さな情景たち」という副題を持つこの作品を、1835年に作曲しました。「4つの音符」というのは、A(ラ)、S(ミ♭)、C(ド)、H(シ)を指していますが、これは、シューマンが当時恋をしていた女性、エルネスティーネの出身地であるボヘミアの街の名(Asch)に由来しています。シューマンは、これらの文字が全て自分の名前(Schumann)の中にもあることを発見して喜び、4つの音符を冒頭に用いた20曲もの小品を書き上げ、組曲にしました。

 この作品は、革新的な音楽の理想を追求する、シューマンの想像上の結社「ダヴィッド同盟」のメンバーである、エルネスティーネ、クララ(シューマンの後の妻)、ショパン、パガニーニ達とともにカーニバルを楽しみ、最後には、旧約聖書に描かれたダビデとペリシテ人の戦いになぞらえて、「ダヴィッド同盟員」が、保守的な音楽の擁護者である「ペリシテ人たち」を打倒しようと行進するという筋書きになっています。

 この作品には、シューマンが尊敬する音楽家の肖像、男女の愛、道化役者、舞踏会の様子など、様々な登場人物の人間模様が表現されている他、終曲では、シューマンが目指す音楽の実現に向けての強い意志と、困難を克服する勇気が感じられます。

 

〈大澤美穂〉